トントントン…
包丁の音が一定のリズムを刻んでいる。
その音を聞きながらゆっくり近づいていく。
「螢子~今日は何作ってくれんの?」
いいながら幽助は螢子のいる台所に向かう。
「んー、今日はハンバーグよ。」
答えるとほぼ同時に背中にあったかい感触。
幽助が抱きついたのだった。
「まだ時間かかるから邪魔しないで・・・よ・・・?」
螢子が振り返るとどんどん表情が変わっていく幽助がいた。
「ど、どうしたの?」
「け・・・螢子なんで泣いて・・・」
女の涙には弱いらしい幽助がおどおどする。
「あぁこれ?ちょっと玉葱刻んでたのよ。」
「え・・・?たま・・・ねぎ・・・?」
「そうよ、た・ま・ね・ぎ」
はぁ・・・と肩を落とす幽助。
それを見てクスクス笑う螢子。
「できるまでおとなしく待ってなさいね」
「へいへい…」
勘違いが恥ずかしかったのかぶすっと言い放ちながら去っていく幽助。
それをしばし眺めて堪能した後、螢子は料理に戻るのでした。
おわり。
[2回]
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